有朋寮賛同人から意見書が提出されています

　有朋寮の廃寮反対アピールへ賛同をして下さっている方から、裁判所に意見書を提出して頂きました。以下に紹介します。

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仙台高等裁判所
小野裁判長　御中


　拝啓
　貴判事がご担当の東北大学有朋寮明け渡し裁判に関しまして，同寮の寮生たちとこの数年来の付き合いがあり，また数度にわたって同寮を訪問したという経緯から，この問題に大変関心を持っております．そこで裁判長に是非とも申し上げたいことがあります．
　大学側による廃寮の決定については，その老朽化が理由とされていますが，当然のことながらそれは程度問題です．したがって，倒壊の恐れがあるかどうか等については，自明のこととして，専門家による検証が不可欠です．しかるに裁判所は，寮生による一級建築士の証人申請を認めておられず，したがって客観的な判断なしに裁定を下そうとしておられるようです．これは大変不当なことと思われます．私自身，わずかな時間とはいえ数度にわたり寮の内部に立ち入り，また数時間をそこで過ごしましたが，その時の印象ではことさら危険を感じることはありませんでした．ぜひとも鑑定証人を認めていただき，あるいは専門家による鑑定を実施していただき，重要な判断の材料としていただくようお願いします．
　また，有朋寮廃寮問題に関連して，東北大学において重大な人権侵害が発生し継続していることにも，裁判所は注意を払っていただきたいと思います．理学部学生の古郡陸さんは，有朋寮に住んだというだけで停学処分を受け，しかもこれが３年以上経った現在も続いています．東北大学の懲戒規定にそのような処分理由の項目があるとは聞いていません．つまりこれは，「大学の言うことを聞かなかった」ということだけを根拠としているように思われます．我が国は法治国であり，公権力の行使の場合はもとより，大学のような組織内部においても，人の権利を制限したり奪ったりすることは明確なルールに則って行わなければならないものと信じます．つまり「法の支配」は国家だけでなく，公的な組織や団体においても一般的な原則でもあると思われます．「管理者の指示に従わなかった」ということだけを根拠に権利制限や懲戒が行われるとすれば，それは管理者の恣意的な支配を容認することになるでしょう．私は法律を専門とする者ではありませんが，以上のことは社会的常識に属すると思われます．
　古郡さんの件で仮に何らかの処分があり得たとしても，３年以上もの長期の停学という「重罰」はあまりにも常軌を逸しており，これを知った人は誰でも耳を疑うでしょう．大学における重い処分の例としては定期試験における不正行為に対するものがありますが，これでもせいぜい数週間の停学というのが通例と思われます．大学側の意に反して寮に住むことが，その百倍にも匹敵する罪であるとは到底考えられません．
　この件に関しては，同大学の教職員の方々の見識によって，内部的に解決されることを期待したいと思います．著名な米国の人権活動家，マーチン・ルーサー・キング牧師の「究極的に悪いのは悪人の残忍さではなく，良識ある人々の沈黙である」という言葉は，たいへん示唆に富んでいると思います．
敬具
２００６年３月１４日