私たちが提出した『控訴理由書』(要約)を紹介します
*原判決の取り消し・変更を求める。 ○「元寮生にも損害金支払いを命令」!? 寮の占有状況や居住の有無についても全く検証していないではないか! *原判決は、既に居住していないことが明白な元寮生に対しても、明渡し及び損害金の連帯支払いを命じている。これは明らかに取り消しを免れない。 *原判決は、「寮生が寮全体を共同占有」と認定をしているが、あり得ない。占有居室の特定は可能であり、訴訟の対象は居室占有の権利・地位である。 大学側は、03年3月28日の東北大職員立ち入り拒否をもって、共同占有の根拠としているが、以前から管理を寮生に任せていた事実が続いているだけである。大学が管理していないことを理由に、共同占有であるというのは逆転した論理である。 占有状況や居住の有無については、寮生の申し立てを検証すれば誤認は避けられたはずだが、一審は審理不十分のまま寮生の事実主張を排斥し、判断している。控訴審ではきちんと検証を行うことが必要だ。 ○「入寮権利の剥奪」の手続を踏んでいない *原判決は、入寮許可の取消という手続がなくとも使用停止決定は有効で、明渡し請求ができるとしている。しかし、行政法規範であれ民事法規範であれ、一旦許可や契約により何らかの地位や権利を与えたのであれば、それを手続を踏まずに剥奪することはできない。また、「内部規律による入寮許可」との原判決の判断は、何故入寮許可が行政法規範の適用除外であるのか根拠を示していない。 本年8月司法試験の模擬試験において、市立保育所廃止と入所者への処置に関する設問があった。本件も同様であり、言うなれば「入寮許可の後発的事由による撤回」の問題であり、その必要要件が問われているのである。少なくとも「撤回」という行政処分がなければ、入寮許可による地位剥奪はできない。従って、撤回をしていないし、その旨の主張もない本件訴訟において、明渡しを認容した判決は明々白々の誤りというしかないものである。 ○吉本よ! 「老朽化」はどこへ行った! *大学当局は、在学生に対して有朋寮の「老朽化」の危険を言い立て、イメージとしての「老朽化」を大々的に「宣伝」している。しかし、本訴訟においては「老朽化は寮生に対する明渡しの実体要件ではないし、大学はそのような主張は一切していない。」と明言している。 しかも、有朋寮の科学的危険性を証明しようとすることもなく、逆に危険性がないことを証明しようとする寮生側の立証に反対している。ちなみに、本年8月16日の地震においても寮には何らの被害も無く、「老朽化」の内実が単に「古くなった」というだけのものであることが明らかとなっているのである。 *結局のところ、東北大学当局の主張は、大学の寮を廃止するか否かは大学の全くの自由裁量行為であるという、古色蒼然たる「行政法理論」を背景に、一方的な権力行使を「正当化」しようとしているに過ぎないものである。 よって、東北大学の請求は棄却されて当然のものである。
by ufo_ryou
| 2005-12-30 19:02
| ○有朋寮「明け渡し」裁判
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